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防音ラボColumn

2024.11.25

様々な業界で活躍する「音響実験室」とは?

「防音室」は、楽器演奏や仕事などでの騒音・音漏れ対策に幅広く活用されていますが、医療や自動車、建築といった多岐にわたる分野で、音のクオリティや効果を検証する「音響実験室」としても欠かせない存在です。
防音室以外にも、「無響室」や「残響室」など音響実験室にはいくつかの種類があり、特別な環境で製品やサービスの品質向上に貢献しています。

そこで今回は、様々な業界で活躍している「音響実験室」について分かりやすく解説します。「音響試験や測定に関わる設備の導入を検討している」という方はぜひ参考にしてください。

目的に応じて活用される「音響実験室」

「音響実験室」とは、音の特性や効果を専門的に測定するための部屋です。音の響きや遮音性のチェックなど様々な音響実験が行われます。
一般的には音がほとんど反射しないように作られている「無響室」、音の反響を多く発生させる「残響室」、より手軽に音響測定が可能な「防音室」などの種類があり、目的に応じて活用されています。

・無響室
壁や天井、床面に音を吸収する素材を内張りして、音の反射や外部からのノイズを極限までなくし、室内での音の反響が無視できるほど小さい部屋を「無響室」といいます。
内部では「無音に近い環境」が作られており、主に対象物から出ている音の純粋な特性や、人間の聴覚がどのように働くかを研究するために使われ、通常の環境では体験できない静けさを感じられます。「無響音室」と呼ばれることもあります。
具体的には、例えばスピーカーやマイクなどの音響機器の性能チェックや、家電製品や工業製品の動作音のテストに利用され、製品の音質や静音性を検証・改善することができます。また、聴力の精密検査や、楽器演奏で反響のない音のみを録音したい場合など、様々な使用方法があります。

・残響室
壁や天井、床が音を反射しやすい固い素材で作られている「残響室」は、音の反響をわざと多く発生させるように設計された部屋です。無響室とは正反対の音響環境となります。
残響時間(音が消えるまでの時間)が長く続くことが特徴で、音の波がどのように拡散していくかや、音が反射して聞こえる様子を調べることができ、特に建築や音響設計の分野で活用されています。
例えば、ホールや劇場の設計では、残響が心地よく聞こえるように設計を調整する必要があり、残響室での実験を通して、最適な材質や構造を検討します。
また、自動車の遮音性能の評価や、音響機器のテスト、防音材の性能チェックなどにも利用されます。

・防音室
外部の音を遮断して、部屋の中に音が漏れないように設計されている「防音室」は、一般的に家庭の楽器練習用のスペースとしてや、音楽スタジオやラジオ局などでの録音のために使用されることが多い設備です。
防音室の壁や天井には防音材が厚く設置され、ドアや窓も気密性が高い構造になっているため、外部の雑音が入りにくく、内部の音も外に漏れにくくなっています。音の反響を抑えるために吸音パネルが使われることもあり、内部の音をクリアに保ちながらも外部に影響を与えません。
また、音響実験室の一種として、研究やテスト目的での機器の性能測定といった場面でも利用されており、簡易な防音仕様から高度なものまで様々なタイプがあります。
基本的には音の遮音性能に長けた空間として作られていますが、明確な基準はなく、使用目的によって性能が異なります。

このほかには試聴室、シミュレーションルーム、床衝撃音実験室、住宅用実験室のような様々な種類・規模の実験室があります。

音響実験室が活躍している主な業界

音響実験室は、音の特性を正確に測定・分析するため、様々な業界や施設で使用されています。
例えば、建築やインテリアデザインでは、部屋の防音効果や音の響きを改善するために、様々な素材を使って音の伝わり方などを調べます。

ここでは、音響実験室が活躍している代表的な業界と、主な使用例についてご紹介します。

1.公的機関・研究機関
公的機関や専門の研究機関では、多種多様な測定物を対象に、環境音や騒音の影響を調査するといった目的で音響実験室が使用されています。
例えば、先述の無響室や残響室を用いて、特定の音が人体に与える影響や、周辺環境への影響を検証します。
また、防災や交通騒音の対策研究にも活用され、音響測定の標準化などにも役立っています。
医療機器開発センターや工業技術研究所、工業試験場などで使用されています。

2.学校・教育施設
建築音響や電気音響、楽器音響などを学ぶ大学や専門学校では、音響実験室が設置され、学生の教育や研究活動に活用されています。
音波や反射、吸音特性などを実体験を通して学び、実験や研究に必要なスキルを身に付けることが可能です。
音響実験室は、特に音響学や音響設計を学ぶ学生にとって重要な設備です。また医学や心理学、機械工学など、音に関わる研究・計測を行なっている学部・学科でも使用されています。

3.自動車業界
自動車メーカーは、車内の静粛性や騒音対策に特化した実験を行うため、無響室や防音室を導入しています。
車内のエンジン音、風切り音、道路からの振動音などが、乗客に不快感を与えないように設計・改善するため、車両内外の音の測定や調整が行われます。
また、車載オーディオの音響特性を高めるためにも音響実験室が活用されています。自動車メーカーだけでなく、エンジンやタイヤのほか、様々な電子部品などを供給しているメーカーでも音響実験室が使用されています。

4.電機メーカー
音響機器や家電製品などを開発する電機メーカーでは、製品の音質や動作音を確認するために音響実験室が活躍しています。
例えば、スピーカーやヘッドホンの音質調整、家電製品の動作音の軽減や品質向上に役立てられます。こうした品質管理によって、ユーザーのニーズに合った製品が開発されています。

5.建設業界・鉄道業界
建設業界や鉄道業界では、主に建物や車両の騒音対策、遮音性の確認のために音響実験室を活用します。
例えば、コンクリートやガラス、内装材などの防音・吸音効果を検証し、ホテルや住宅、オフィスビルなどの静粛性を確認します。
鉄道業界では、駅構内や車両内の音響特性を最適化し、快適で静かな空間を提供するための研究に用いられています。

このように音響実験室は、様々な業界で、製品の品質向上や快適性の確保のために柔軟に対応して納入されている重要な設備です。

多様なニーズに対応可能な「防音室」で騒音対策を

様々な業界で活躍している音響実験室の一種である「防音室」は、無響室や残響室と比較するとより手軽に音響測定が可能で、多くの企業に納入されています。
また、音響実験室以外にも完全個室型の防音室として、例えばオフィスでの作業スペースや、Web会議やオンライン商談のスペース、家庭内でも楽器演奏やゲーム、オンラインレッスンなど、様々なシーンで活躍しています。

「職場で集中できるスペースを設置したい」、「周囲を気にせず楽器を演奏したいけれど近隣からの苦情が心配」といった方など、多種多様なニーズに合わせて納入されていますので、騒音や音漏れにお悩みの方はぜひ防音室の設置を検討してみてはいかがでしょうか。

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