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防音ラボColumn

2022.12.21

ビジネスでも活用されている? カクテルパーティー効果とは

会社や学校、宴会やパーティー、繁華街などの周囲が騒がしい場所であっても、自分の名前が呼ばれたときや、周りが興味のある話をしているときは内容がはっきりと聞こえて自然と耳に入ってきた、という経験をしたことがある方は多いことでしょう。
このような現象は、「カクテルパーティー効果」と呼ばれる脳の働きによって周囲の音に反応しており、ビジネスシーンなどでも活用されています。

今回は、カクテルパーティー効果のメカニズムについてや、活用例などについて解説します。

カクテルパーティー効果とは?

カクテルパーティー効果は、1953年にイギリスの心理学者コリン・チェリーによって提唱されました。音声の選択的聴取、選択的注意とも呼ばれています。
騒がしい環境や、多くの人々がそれぞれ雑談をしているときでも、自分の名前や興味があるキーワードを含む会話は不思議としっかり聞き取ることができるという現象ですが、実はこれは脳が自分にとって重要な音声情報を無意識に選択して認識しているというメカニズムが明らかにされています。

脳は、耳から入る音声情報だけでなく、たとえば目から入る視覚情報や何かが触れたときの情報など、膨大な量の情報を常に受け取っています。
しかし、聞こえた音など全てを情報として取り込んで同時に認識・理解しようとすると、脳はその膨大な情報の処理が追いつかなくなってしまうのです。

そのため、脳は耳から得た音声情報を無意識に取捨選択し、自分にとって必要な情報だけを認識して正常に脳内の処理を進めています。
この働きによって、私たちは騒がしい状況であっても自分に必要な情報を判断して聞き分けられているのです。いわゆる「地獄耳」もこの効果が作用して起こっています。

なお、脳がどのような処理で必要な情報を選定しているのか、カクテルパーティー効果が起こるメカニズムについては現代でも詳しくは解明されていません。
一説によると周波数の違いや音が発生している位置などで分類して、必要な情報を判断しているのではないかといわれています。
ちなみに「カクテルパーティー効果」という名前は、実際のカクテルパーティー(立食形式のパーティー)でこの効果がよく見られることが由来となっています。

カクテルパーティー効果が実証された実験

カクテルパーティー効果はまだまだ解明されていない謎が多いものの、これまで様々な実験が行われ、実証されてきました。
ここでは、その中でも有名な実験を2つご紹介します。

・提唱者による実験
カクテルパーティー効果を提唱したイギリスの心理学者コリン・チェリーによる実験です。
内容は被験者にヘッドホンを付けてもらい、左右で異なる音声を聴かせて片方の耳に意識を集中するよう指示します。すると意識を集中していない方の耳には音声が聴こえなくなるというものでした。
そして、意識を傾けていない耳側に被験者の名前を呼ぶ音声を流すと、その音を認識するようになり、被験者の意識の方向がそちらへ移るという結果になったそうです。
このことにより、人は名前など聴こえる情報によっては強制的に意識の向きを変えられるということが分かりました。

・アメリカで行われた実験
アメリカでは、カクテルパーティー効果が人間関係にどのような影響を及ぼすのかという実験が行われました。
内容は、男女の被験者に15分間会話をしてもらうパターンと、15分間の会話の中でお互いの名前を意識的に複数回呼ばせてみるというパターンで比較するという実験です。
その結果、15分間ただ会話をしただけのパターンよりも、意識的に名前を呼び合ったパターンの方がお互いに親しみやすさや良い印象が強くなるということが分かりました。

カクテルパーティー効果による影響

カクテルパーティー効果は音声による情報の選択をすることで、聴覚以外のその他の部分にも影響を及ぼしています。

・心理的影響
落ち込んだり不安を感じたりしてネガティブな思考に陥っているとき、周りのヒソヒソ話が気になって「自分のことを言っているのでは?」と感じた経験が誰もが一度はあることでしょう。
実はこれはカクテルパーティー効果による心理的影響です。
負の感情を抱いて周りの目が気になっているときなどに他人のヒソヒソ話が耳に入ると、脳がその情報を必要だと無意識に選択してしまうことが原因であると考えられています。
そのため、このような状況に陥ったときは脳のメカニズムによるものと割り切って、気にせず他になにか集中できることに取り組むようにするとよいでしょう。

・視覚的影響
例えば車の購入や引越し、旅行などを検討し始めたとき、途端に関連CMや広告が目に留まるようになったことに気が付いたという方は多いのではないでしょうか?
これもカクテルパーティー効果に関連する脳の働きで、視覚から自分にとって必要な情報を無意識に選択しており、「カラーバス効果」とも呼ばれています。
特定の事柄について意識し始めることで、脳がそれに関連する情報をピックアップしている結果だと考えられています。

ビジネスに役立つ! カクテルパーティー効果の活用法

カクテルパーティー効果は、ビジネスシーンにおいても役立てることができ実は身の回りの様々な場面で活用されています。
特に営業や集客、企画などで活用できますので是非参考にしてみてくださいね。

・ターゲットを明確にしてアピールする
カクテルパーティー効果は「自分が言われている気がする」と感じることがあるのが特徴の一つですので、これを活かしてターゲットを明確にすると具体的にアピールすることができます。
例えば、お店の集客においては「新社会人の方限定サービス中」、「◯◯にお住いの方へ」といったキーワードを設定することでターゲットが限定され、自分に当てはまると感じた方や、関心が高い方に向けてアピールできるようになります。
また、ショッピングセンターやデパートなどでは「いらっしゃいませ」と呼び込むだけでなく、「セール中です」「冬物の商品が入荷しました」というキーワードも設定して呼び込みを行った方が、セール品や冬物を求めるお客様へアピールできて集客率アップにつながります。

・アピールしたい層を意識した単語を使用する
カクテルパーティー効果の視覚的な影響を利用した活用例です。
ポスターや看板を設置する際など、内容があまりに細かいものだと目に入っても相手に興味を持ってもらえず、アピールするのが難しくなってしまいます。
そこで、ターゲットを絞ったキーワードを大きく表示して宣伝したい内容を分かりやすくしましょう。
例えば家族向けのマンション宣伝ポスターであれば、アピールしたい層が気にしていそうな「育児」、「駅近」、「テレワーク」、「団欒」といったキーワードを使用することで相手の目に留まりやすくなります。

まとめ

カクテルパーティー効果のメカニズムについてや、活用例などについてご紹介しました。
騒がしい場所であっても、自分の名前が呼ばれたときや興味のある話は不思議としっかり聞こえてきたという現象は、音声情報を選択して認識する脳の働きとして明らかにされていることに驚かれた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ビジネスシーンでも活用されているカクテルパーティー効果を日頃から意識してみると、何か面白い発見があるかもしれませんね。

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