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防音ラボColumn

2023.05.26

ノイズキャンセリングとは? 基本的な仕組みやメリットについて

私たちの日常生活には様々な音が溢れています。通勤や通学時の雑踏の音、オフィスやカフェでの会話やBGM、そして家庭での家電製品の機械音など、これらの音は時にリラックスや集中を妨げることがあります。
そんな状況下で聴こえる音のクオリティを向上させる方法として、「ノイズキャンセリング技術」が注目されています。

今回は、ノイズキャンセリングとは何か、その基本的な仕組みやメリット・デメリットなどを解説していきます。

ノイズキャンセリングとは?

望ましくない音や雑音のことを「ノイズ」といいますが、ノイズキャンセリング技術はそのノイズを軽減するために元々は飛行機のパイロットのために開発されました。

最近は、イヤフォンやヘッドフォンで音楽を聴く際に外部からのノイズを低減させ、クリアな音にするために取り入れられて身近なものなりました。
また、音楽を聴く際以外にも、勉強や仕事などに集中したい時に役立ちます。

アクティブノイズキャンセリングとパッシブノイズキャンセリングの違い

ノイズキャンセリングには2つの種類が存在しています。それぞれの仕組みについて解説します。

・アクティブノイズキャンセリング(ANC)の仕組み
アクティブノイズキャンセリングは、電子的な方法でノイズを打ち消す技術です。
例えば、外部のノイズをマイクで拾い、そのノイズの逆位相の音を生成することで相殺します。
これによって、ノイズが聴こえなくなる仕組みになっています。
アクティブノイズキャンセリングは、特にエンジン音や騒音などの低周波数のノイズに効果的です。
ただし、電子的な方法でノイズを相殺するため電源が必要で、基本的にはヘッドフォンやイヤフォンに内蔵されたバッテリーが電源として使用されます。

・パッシブノイズキャンセリング(PNC)の仕組み
パッシブノイズキャンセリングは、物理的な方法でノイズを遮断する技術です。
具体的には、耳を覆うイヤーパッドや、耳に直接フィットする耳栓などで、外部の音が耳に届かないように遮断します。
パッシブノイズキャンセリングは、電子機器や電源が不要であるため、アクティブノイズキャンセリングと比較して低コストで実現でき、低周波数だけでなく、中・高周波数のノイズにも効果的です。
また、電源が不要なため、電池切れの心配がなく、いつでもノイズキャンセリング機能を利用できます。
ただし、装着感や遮音性能に大きく影響されるので、適切なフィット感がないと、ノイズキャンセリング効果が十分に得られないことがあります。

アクティブノイズキャンセリングの技術方式は3種類

アクティブノイズキャンセリングの技術は3種類の方式に分かれています。
それぞれについて解説します。

1.フィードフォワード方式
フィードフォワード方式は、外部のマイクが拾ったノイズをリアルタイムで逆位相の音を生成する方式です。
この方式を使ったイヤフォンやヘッドフォンでは、ノイズが発生する前に逆位相の音を生成し、ノイズキャンセリングが行われます。
逆位相の音と音楽が混ざって再生され、耳に聴こえるのは音楽だけになるという仕組みです。
また、外部のノイズを直接検出するため突発的なノイズにも対応できます。
ただし、マイクと耳の距離があるため、完全なノイズキャンセリングをするのは難しいことがあります。

2.フィードバック方式
フィードバック方式は、内部のマイクが拾ったノイズを処理し逆位相の音を生成する方法です。
この方式では、イヤフォンやヘッドフォンの内側に設置されたマイクが、リスナーに聴こえる音を検出し、その音に含まれるノイズを処理して逆位相の音を生成します。
フィードバック方式は、リスナーの耳に近い部分の音を処理するため、より正確なノイズキャンセリングが可能です。
ただし、複雑な処理が必要で負荷もかかり、リアルタイム性に欠けるため突発的なノイズには対応しづらい点があります。

3.ハイブリッド方式
ハイブリッド方式は、フィードフォワード方式とフィードバック方式を組み合わせた技術です。
この方式では、外部のノイズを検出するマイクと、リスナーが聴く音を検出するマイクの両方を使用して、より効果的なノイズキャンセリングが可能です。
ハイブリッド方式は、それぞれの方式の長所を活かし広範囲のノイズに対応できるため、も高性能なノイズキャンセリングが期待できます。
ただし、フィードフォワードとフィードバックのマイクがそれぞれ必要になるため、コストが高くなることが欠点です。

ノイズキャンセリングの使用例

・ヘッドフォン、イヤフォン
ノイズキャンセリング技術は、ヘッドフォンやイヤフォンに幅広く採用されています。電車や飛行機などの騒音が多い環境でも、クリアな音楽や映画の音声を楽しむことができます。
また、集中力を高めるために、オフィスやカフェなどで使用する人も増えています。

・自動車、航空機
自動車や航空機の車室内では、エンジンや走行音などの低周波数のノイズが発生します。
ノイズキャンセリング技術を利用することで、これらのノイズを軽減し快適な車室内環境を作り出しています。
特に高級車や最新型の航空機では、ノイズキャンセリング技術が重要となっています。

・その他の例
ノイズキャンセリング技術は、家電製品や建築分野でも応用されています。
例えば、冷蔵庫やエアコンなどの家電製品では、騒音を抑えるためにノイズキャンセリング技術が取り入れられているものもあります。
また、オフィスビルや集合住宅の建築時に、部屋間の遮音性能を高めるためにノイズキャンセリング技術を利用した壁材や窓ガラスも開発されています。

ノイズキャンセリングのメリットとデメリット

ここでは、ノイズキャンセリングのメリットとデメリットについて解説します。

・メリット①雑音の軽減
ノイズキャンセリング技術の最大のメリットは、周囲の雑音を軽減することです。
これによって、音楽や映画の音声をクリアに聴くことができます。

・メリット②集中力の向上
騒音が減少することで、作業や勉強に集中しやすくなります。
これは、オフィスや学習環境で特に重宝するものです。

・メリット③音量の低減
ノイズキャンセリング技術を使用することで、聴こえづらい環境で大きな音量に上げて聴く必要がなくなります。
これにより聴覚への負担が減少し、健康的なリスニング環境を実現できます。

・デメリット①コストがかかる
ノイズキャンセリング技術を搭載した製品は、一般的な製品よりも高価です。
特にアクティブノイズキャンセリング機能を持つヘッドフォンやイヤフォンは、高額なものが多いです。

・デメリット②電源が必要
アクティブノイズキャンセリング機能を使用するためには、電源が必要です。
電池切れの際にノイズキャンセリング機能が使えなくなることには注意しましょう。

・デメリット③音質への影響
ノイズキャンセリング技術によって、音楽や音声の音質が若干低下することもあります。
特にアクティブノイズキャンセリング機能がオンの場合、音の細部が失われることがあるため、音質にこだわるリスナーには不向きな場合があります。

・デメリット④突発的なノイズへの対応
フィードフォワード方式や、フィードバック方式のアクティブノイズキャンセリングでは、突発的なノイズや人の声などに対応するのが難しい場合があります。

ノイズキャンセリング機能を使って快適な環境を作ろう

ノイズキャンセリング技術はヘッドフォンやイヤフォンをはじめ、自動車や航空機、家電製品や建築分野など、幅広い分野で活用されています。
今後、ノイズキャンセリング技術はさらに進化することが期待されていて、音質向上技術の組み合わせにより、高性能で低コストの製品が開発される可能性が大いにあります。

ノイズキャンセリング機能を上手に取り入れ、快適な音の空間を作り出しましょう。

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