音環境を良くするために知っておきたい「音響障害」について
ホームシアターやオーディオルームなど、自宅に音響設備を設置して臨場感あるサウンドを堪能するには「音響障害」について理解しておく必要があります。
部屋の音環境が整っていないと定在波やフラッターエコー、ブーミングと呼ばれる様々な音響障害を起こしやすく、せっかく音がいいスピーカーを導入してもその性能を活かしきれないことになるのです。
そこで今回は、音響障害の基本について分かりやすく解説します。
自宅で映画や音楽などをより良い音で楽しむための空間作りにぜひお役立てください。
音響障害を取り除く対策の重要性
ホームシアターやオーディオルームで快適な音空間を実現するためには、外部からの騒音はもちろん、室内で発せられる機械音、そして外への音漏れ対策のほか、ご存知のとおり「音響」も重要なポイントとなります。
しかし、室内の音響設計に問題がある状況では、それが原因で思ったような音響効果が得られないどころか、様々な音の特異現象を引き起こす可能性があります。これが「音響障害」です。
スピーカーなど設備の性能や、設置する位置も大切ですが、音響設計がより重要になります。
より良い音響効果を得るために、例えば音が室内に響きすぎる、音質を悪くする反射音が発生するといった音響障害を取り除く対策について考慮する必要があるのです。
代表的な3つの音響障害について
ここでは、数多くの種類がある音響障害の中から代表的なものを3つご紹介します。
1.定在波
スピーカーからの音や私たちの声など、音源から発せられた音波は室内では壁や床、天井にぶつかって反射するという性質があります。
「定在波」とは音源から発せられた「進行波」と呼ばれる音波と、壁や天井から跳ね返った「反射波」が重なり合って生まれる波のことです。定在波によって同じ部屋でも特定の音が異常に大きく聞こえたり、反対に小さく聞こえたりする場所ができる現象を引き起こします。
進行波と反射波の重なりによって起きる現象のため、定在波を完全になくすということはできませんが、音響設計によって抑えることが可能です。
2.フラッターエコー
定在波が原因で起こる音響障害の一つが「フラッターエコー」で、例えば部屋で手を叩いた時の音がエコーがかかったように聞こえるのが特徴です。
壁にぶつかって跳ね返った反射音は、さらに反対側の壁にぶつかり反射を延々と繰り返しますが、音がこのような多重反射をすることで共鳴して聞こえてしまい、高域に耳障りな反響が発生します。天井と床も通常は平行なのでフラッターエコーが発生します。
フラッターエコーは特に家具など物が少ない部屋で起きやすい現象です。また小さな部屋で平行面が多く、壁や床などに音を反射しやすい硬い材質を使用していると影響が出やすい傾向があります。
なお「やまびこ」のように、発生した音が反射によって大きく遅れて聞こえてくる現象のことを「ロングパスエコー」といい、こちらは例えば体育館や屋内プールなど、反響しやすい素材でできた広い空間で発生する音響障害の一種です。
3.ブーミング
「ブーミング」も定在波が引き起こす音響障害の一つです。上述のフラッターエコーは中高音域で起きる現象ですが、ブーミングは主に低音域で起こりやすい傾向があります。
低音が不自然に強調されて響き、「ブーン」と太くて長い反響音が鳴る現象で、本来の低音が極端に膨らんで聞こえて音の明瞭度が損なわれてしまいます。
小さな部屋やコンクリートに囲まれた部屋で起こりやすいのが特徴です。
このほかには、スピーカーから直接聞こえる音と壁などによる反射音が干渉し、音色が変化して聞こえてしまう「カラーレーション」、空間のある一点に反射音が集中してしまう「音響集中」、残響時間が長すぎる「残響過多」といった様々な種類の音響障害があります。
音響障害を改善するポイントとは?
音環境を良くするための第一歩としては、音響障害の中でも特にフラッターエコーやブーミングへの対策が行われています。
・フラッターエコー対策
向かい合った壁の間や天井と床で、繰り返し音が反射して起こるフラッターエコーは、コンサートホールなどの施設ではあらかじめ壁を傾けて対策が施されています。
壁面や天井の形状を平行ではなくして反射音を分散させる、もしくは音の反射自体を減らすために吸音効果があるアイテムを使うことが重要です。
自宅で手軽にできる対策としては、壁に絵を掛けたり家具やベッドを置いたりして、なるべく壁同士が平行しないようにするといった方法があります。
天井と床への対策には、タペストリーを天井に斜めに取り付けたり、床にカーペットを敷いたりすることで改善される場合もあります。
またより本格的な対策として「吸音パネル」や「調音パネル」を使用すると効果的です。
・ブーミング対策
小さな空間で起こりやすく、低音が強調されて響いてしまうブーミングは、音楽スタジオなどで発生してしまうと致命的な問題になってしまうため、部屋を設計する時点で他の音響障害とともにあらかじめ対策されているケースが多いです。
一方、自宅でブーミング対策を行う場合に重要となるのがしっかりと吸音することです。部屋の隅など適所に吸音材を配置し、低音を抑えることで改善が期待できます。
専門業者に相談してより良い音環境づくりを!
「音響障害」について理解を深めることは、ホームシアターやオーディオルームで理想的な音環境づくりを目指す上では欠かせないポイントの一つですが、対策は奥が深く、より専門的な知識が必要となる分野です。
実際には音楽スタジオやライブハウスといったプロの現場でも希に発生する場合がある厄介なトラブルで、音響障害を発生させない設計にすることが重要になります。
自宅で対策する場合は、上述のように家具やカーペットといったアイテムで手軽に行える方法もありますが、完全に防ぐのは難しいため、まずは専門業者に相談してみるのがおすすめです。
音響障害の改善には防音工事のほか、専用の「吸音パネル」や「調音パネル」といったアイテムを壁などに取り付けて対策する場合も多く、大掛かりな工事も不要で部屋の状況や用途に合わせて原因を取り除くことが可能です。
そして、自宅に音響設備を設置して臨場感あるサウンドを心置きなく楽しむには、今回ご紹介した音響障害だけでなく、音や振動が外部に漏れて騒音トラブルにならないよう注意しなければなりません。また反対に、外からの騒音が映画や音楽鑑賞の妨げにならないように対策することも大切です。
これらのポイントを踏まえ、快適な音環境づくりを目指して納得のいく仕上がりにするためにも、ぜひ一度専門業者に相談してみてください。
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