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防音ラボColumn

2023.02.27

楽器が出す「音」が違うのはなぜ? 音の性質について

音楽にはロックやジャズ、クラシックなど様々なジャンルがあり、ギターやピアノ、バイオリンなどたくさんの種類の楽器が使われています。
楽器の種類が違えばもちろん音も違って聞こえますが、それぞれ音の大きさや音程の高さなど、そもそも楽器が出す音の違いはどのようにして生じるのかご存知でしょうか?

そこで今回は、楽器をはじめ身の回りの「音」が違って聞こえる理由について解説します。

音はどのように発生して伝わっている?

人間が様々な音を聞いて違うと感じるポイントは、主に「音の大きさ」「音の高さ」「音色」の3つに大きく分けられ、これを「音の三要素」といいます。

私たちは例えばテレビの音や人の声、自動車のエンジン音など常に何かの音に囲まれて暮らしています。
「音」とは、音の元となる物体(音源)の振動によって発生する「波」によるものであり、その波が周りの空気を振動させて伝わることで私たちの耳に届きます。
耳の中の鼓膜が振動することで発生した信号を大脳が「音」として変換し、人は音を聞いたと認識するのです。
ギターやピアノなどの楽器も弦や線の振動を利用して音を発生させています。
ちなみに音は空気だけでなく水中や固体の中でも伝わり、宇宙空間のような真空状態では伝わりません。

音の波(音波)が発生する仕組みは、まずある物体が振動することによって周りの空気が押し出され、押された部分の空気が圧縮されて密度が濃くなります。
密度が濃くなった空気がさらに近くの空気を押していくという動きが連続して起こることで(空気の圧力変化)、空気が濃い部分と薄い部分が交互に発生し波が生じて空気中に伝わり、耳の中の鼓膜を振動させて私たちは「音」として感じ取っています。この圧力変化の波を「音波」といいます。

そして、「音の大きさ」「音の高さ」「音色」の三要素による音の違いは、この音波が違っているために生じています。

音の三要素とは?

ここでは、「音の三要素」といわれる音の大きさ・音の高さ・音色について一つずつ詳しく解説していきます。

・音の大きさ(音圧)
大きな音・小さな音といった音の大きさの違いは、音波における「波の幅の大きさ」の違いによって生じており、大きな音であれば音波の幅も大きく、反対に小さな音であれば幅は小さくなります。
例えば、テレビの音量を大きくすればするほどスピーカーから出る音波も大きな波となっていきます。

音の大きさは空気の圧力の変化量に比例して決まり、波の幅が大きいと空気の圧力変化も大きくなり、小さいと圧力変化は小さくなります。
この圧力変化の量を「音圧」といい、音圧レベルを表す単位として「dB」(デシベル)が用いられています。dB(デシベル)の数値が大きいほど大きな音になります。
目安としては普通の会話が40~60dB、救急車のサイレン音などが80dBほどとなります。

・音の高さ(音程)
「キーン」といった耳鳴りのような高音や、楽器のベース音のような「ボーン」といった低音をはじめとする音の高さ(音程)の違いは、音波における「周波数」(波の数量)の違いから生じています。
音の高さは周波数によって比例しており、数値が高ければ音波の振動が早い「高い音」、反対に数値が低くなっていくと音波の振動も遅くなっていき「低い音」として認識されます。振動数が多いほど周りの空気の振動数も多くなり、耳の鼓膜を速く振動させます。
周波数の単位は「Hz」(ヘルツ)が用いられ、1Hz=1秒間に1回の振動という意味で300Hzであれば1秒間に300回の振動が起こっているということになります。

楽器は周波数を変化させることで音程の変化を生み出しており、例えばギターの弦をピンと張った状態で弾くと弦が速く振動して高い音が出ますが、反対に弦を緩くした状態で弾くとゆっくり振動するため低い音が出るのはこの仕組みが関係しています。
楽器本体の大きさや長さなども密接に関わっており、一般的に小さい楽器であれば高音、大きい楽器であれば低音を得意とします。

ちなみに人間が認識できる周波数は20Hz〜20,000Hzといわれており、認識できない20,000Hz以上の音を「超音波」といいます。

・音色
これまで音の大きさと高さについて解説しましたが、では同じ大きさと高さで音を再現できればどんな楽器でも同じ音に聞こえるかというと、そうではありませんね。
例えば、ピアノやバイオリン、シンセサイザーなどの楽器を同じ音の大きさと高さで弾いても明らかに音が異なります。
また、楽器以外で音の大きさや高さが同じであっても、例えば車のエンジン音や目覚まし時計など物質によって様々な音の性質を持っているため聞こえ方が異なります。

音色は、音波の質の違いによって生み出されており、同じ音圧と周波数であっても物質によって波の形が異なるため空気に生じる圧力にも違いが生じ、他の音と区別できる特有の響きが生み出されるのです。

また、音が鳴るときには様々な周波数を持つ「倍音」が同時に鳴り、様々な高さの音が混ざり合って一つの音になり私たちの耳に聞こえています。
音の混ざり方はピアノやバイオリンなど楽器によって異なるため、それぞれ独自の音を持っています。
なお人の声も同様に、それぞれ声の波形が異なるため皆少しずつ違う声に聞こえています。

このように音は「音の三要素」が複雑に入り交じってできており、この組み合わせは数え切れないほど多種多様です。
「音の大きさ」と「音の高さ」については測定機器で「音圧」と「周波数」で数値化ができますが、「音色」は同じ音の大きさと高さでも異なる聞こえ方となり、音楽などにおいては演奏者や楽器職人の技量で聞き手にとって心地よい音色に仕上げています。

人間の耳が「音」として認識するメカニズム

人間の耳は、大きく分けて外の方から「外耳」「中耳」「内耳」で構成されている器官です。
耳の穴の入り口から鼓膜までを外耳、鼓膜の奥を中耳、さらに奥にはかたつむりのような形をした「蝸牛」(かぎゅう)というリンパ液の入った器官があるのが内耳となります。

まず、音の元となる物体(音源)から振動が生まれると、周りの空気を通じて耳に入ってきます。
すると鼓膜を震わせて中耳から内耳へと伝わり、「蝸牛」の中のリンパ液の振動へと変化させ「有毛細胞」という部分がその揺れを感知します。
そして振動によって神経伝達物質が放出され、電気信号へと変換されて耳神経から脳に伝達し、最終的に「音を聞いた」と認識するのです。

なおコンサートやライブハウス、工事現場や工場など日頃から大きな音にさらされながら仕事をしている場合は耳への影響に注意が必要です。
継続的に大きな音が耳に入り続けると有毛細胞がダメージを受けてしまい、徐々に聴力が低下する「騒音性難聴」などの病気を引き起こす危険があります。
ヘッドホンやイヤホンをして大きな音で長いあいだよく音楽を聴く、楽器を練習するという方も同様の危険がありますので、十分注意してください。

日常の様々な「音」に耳をすませてみよう

楽器をはじめ身の回りの「音」が違って聞こえる理由についてご紹介しました。
私たちの身の回りの音には、「音圧」や「周波数」、そして「音色」が複雑に入り交じって聞こえ方に違いが生じており、心地よい音や時には不快な騒音として耳に入っています。
日常の何気ない様々な「音」に改めて耳をすませてみると、なにか新しい発見があるかもしれませんね!

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